真っ暗な宇宙、この世界にまだ何も無かった頃。
眩い光から銀河が生まれ、星が生まれ、燃え尽きて終焉を迎えた。
そこから太陽系が生まれ、地球が生まれ、そして私たちの生命につながり、今に至る。
この間に約138億年という時間が流れているそうです。
私たちが存在している、今、この瞬間というもの。
それは果てしない時の流れの中で繰り広げられてきた、物質と生命の営みの、先端にあると言えます。
これは宇宙物理学者の佐治晴夫先生の言葉です。
「星が終焉を迎えたとき、超新星爆発というかたちで、星のカケラが宇宙空間にばらまかれます。そこから太陽系が生まれ、地球が生まれ、私たちのいのちへつながりました。言葉を変えれば、全ての存在は“星のカケラ”だということです。つまり、この宇宙に存在する全てのものは根源において同一であり、独立存在はありえない。すべては、相互存在です。」(星へのプレリュード［新世紀版］より一部抜粋)
全ての存在が“星のカケラ”から始まっているのであれば、今、生きている私たちは「呼吸する星」と呼ぶことができると思い、この展示のテーマとしました。
私たちは「呼吸する星」として、お互いに、そして自然環境と関係を築く事ができないでしょうか。
これは荘厳な宇宙、大きな自然、悠久の時間、そして生命にまつわる物語です。
そしてこの大きすぎるテーマはとても私の手に負えません。
しかし、手に負えない事、わからない事に、興味と解放感を感じています。
そこに身体感覚を存分に使って、この物語に挑戦してゆきたいと思うのです。
Respect the Artist
大和 美緒
Mio Yamato
1990年滋賀生まれ。2015年京都造形芸術大学大学院総合造形領域修了。
油彩による点の集積やインクによる線の束などから構成されるRepetitionシリーズを発展させる。純然とした動作の繰り返しの果てに立ち現れる画面は有機的で、時間の経過を内包しながら、自然の有り様やシステムと、人間の身体や感性との関わり合いを可視化する。
主な展覧会に「KYOTO STEAM 2020」 京都市京セラ美術館 (2020) 、「project N」東京オペラシティーアートギャラリー(2019)など。
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大和 美緒「呼吸する星」
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生きるということ。大和美緒にとって作品を作ることは呼吸をするように必然的だ。
大和の家族は、蘭の温室を営んでいる。幼い頃から、そこで多くの時間を過ごしてきた彼女は、植物が持つ生命を目の当たりにし、それによって生まれる時間を視覚的に表現することに辿り着いた。これが大和を代表する無数に赤いドットが広がる「RED DOT」シリーズの原点となっている。そんな彼女の手によって、ひとつひとつ描かれる無数のドットは、人間の呼吸と身体性を伴ったきわめて有機的なかたちを帯びている。
「激しく変化し続ける世界で、自分自身を見失わない方法を知る必要があります。その中で、私がリアリティを感じる場所が『RED DOT』なんです」。以前、雑誌の取材で、このように語っていた大和にとって、描くことは自己への癒しと共に社会と繋がる方法でもある。
2022年11月に、京都の建仁寺両足院で展示された新作「土は囁く」は、大和の手の形に合わさるように、丸くかたどられた３００枚ほどの陶が、風に揺れて、美しい音を奏でる。
「風が吹く事で、陶が触れ合い、音が鳴る。その音が鑑賞者の耳に届いた瞬間に作品は完成する」
ひとつの陶の音は聞こえないほどささやかだが、風と合わさることで、集積した陶からシンフォニーが生まれる。それは、まるで私たち個々の時間が紡がれて社会が作り上げられる様子を見ているかのようだった。
昨夏には、メキシコのCasa Wabiでのレジデンスに参加する為に、自身にとって初めて単身での海外渡航も果たした。この経験が彼女の作品により一層、壮大な視点を与えたのだろうか。最近の作品は、人間の力を超えた自然があって初めて、我々が存在しているのだということを再認識させると共に、人間の手で生み出されるアートを通じて、社会と自然が、どう関わっていくべきかを問う。
社会は日々速度を増すばかり。そして自然も常に移ろいゆく。それは変化に富みつつも、時に不確かでもある。しかしながら、彼女が生み出すアートは、人間の力が集まることで社会を、ひいては世界さえも、動かすことができるという希望を私たちに与えてくれる。
大和美緒と、同じ時代に生きられることを幸福に思う。
アート・プロデューサー
山下有佳子
【完全予約制】
大和 美緒「呼吸する星」
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自分の美しさの価値観をアートと共に感じる。
美しさの多様性の中で
これからを、もっと自分らしく。
アートとの出会いは、
まだ開いていないあなたの心の鍵を開け、
あなただけの『美しさ』の価値観を
照らし出してくれるかもしれません。
「ART PROJECT with P.G.C.D.」は
P.G.C.D.からの新しい『美しさ』を
探す旅のご提案です。
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対話を重ねること。
そこにあるのはアートが照らす
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その体験は感覚を研ぎ澄まし、
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